オランダの風車はなぜ造られた?意外と知らない歴史と役割

ザーンセスカンス写真

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風車はオランダの象徴と言っても過言ではありません。
全盛期には10,000基もの風車が稼働していたことからも、オランダ人の生活になくてはならないものだったということがわかります。

たくさんの風車が何に使われていたかご存知ですか?
風車の歴史、役割、制御方法をご紹介します。

 

 

【風車の歴史】

風車の起源ははっきりしていませんが、紀元前3600年頃のエジプトで使用された記録が残っているそうです。
なんと今から5600年以上も前!!!

12世紀には十字軍によってヨーロッパに伝えられ、オランダに伝わったのは13世紀です。
それから19世紀までの間、オランダの発展を支えることになります。
産業革命により蒸気による動力が発明され、次第に風車が用いられることは少なくなっていきました。

 

【風車は何に使われていた?】

風車には大きく分けて2種類の用途があります。

 

①水をかき出すための風車

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オランダ語でオランダを示す「ネーデルランド」は、「低地の国」という意味です。
その名の通り、国土の4分の1が海抜0メートル以下!
これらの土地は、干拓によって作られたものです。

オランダは国土の大部分が海抜1〜2メートルの湿地帯でした。
これを農作地に変えるため、人々はそのエリアを堤防で囲み、水路を作って水を排出しました。
しかし、柔らかい湿地帯は地盤沈下を起こし、海抜よりも低くなってしまいます。
水路だけでは水を排出できなくなりました。
そこで、低いところから高いところへ水をかき出す動力として風車が用いられたのです。

当時は、風車に投資をして、できた土地を売って儲ける商人がいました。
土地を作ってしまうなんて、なんて大胆!

 

 

②工業用の風車

ザーンセスカンス写真

粉を引いたり、丸太を切ったり、工業用の動力としても風車が使われていました。
風車の力を使うことで、数馬力程度のパワーを得ていたそうです。
オランダ以外の風車は、工業用のものが多かったようですよ。

風車は英語で「Windmill」。
Wind=風、Mill=ひき臼で、まさに製粉のための装置だったことがわかります。

ちなみにオランダ語では「Windmolen」。
Molen=Millなので同じ語源ですね。

 

 

【風車ってどうやって制御するの?】

風の力のみで動く風車。制御するための工夫がほどこされています。

 

風向きに合わせて回転させる

風車の上の部分は回転できるようになっています。
風向きに合わせて動かすことで、風の力を効率良くエネルギーに変えるんです。

下の写真の風車では、風車の上の部分からまっすぐ後ろに伸び、その先端から下につながる棒が見えます。
これが風車の上部分を回転させる軸となり、船の操舵輪のようなものを回して回転させます。
動かした後は、ロープで固定。
風車の周りにはロープをかけるための突起が埋め込まれています。(写真では柵の中央辺りの上に白い突起が見えます)

 

風の強さに合わせて抵抗を変える

4枚の羽には布が付いていて、風が弱ければ帆を張り、強ければたたんで調整します。

 

この日は風が強くなったので、帆をたたむシーンを見ることができました!ラッキー☆

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まずは、ロープを引っ張って歯車の噛み合わせを外し、羽の動きを止めます。

 

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止めた羽の帆の留め具を外します。

 

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外した帆をクルクルとまとめていきます。

 

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しっかりまとめた帆を金具にひっかけて固定したら終了!
再びロープを引っ張って歯車をかみあわせ、稼働再開です。

手際よくスルスルと帆がまとまっていったのですが、あんなに大きな帆を綺麗にまとめられるってすごいですよね。

 

 

【これらの風車はどこで見られる?】

排水用の風車として有名なのは、なんといってもキンデルダイクです。

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キンデルダイクは「キンデルダイク=エルスハウトの風車網」としてユネスコの世界遺産にも登録されており、19基もの風車が並んでいる様子は壮観です。

18世紀に造られた風車が、今でも水をかき出し続けています。
(現在実質的な排水の役割を担っているのは電気式の排水設備ですが)
風車の前に立つと、右と左で水面の高さが違うのがわかっておもしろいですよ!

キンデルダイクの詳しい紹介、アクセスはこちら

 

工業用の風車として有名なのは、ザーンセ・スカンスです。

ザーンセスカンス写真

全盛期の18世紀には600基もの風車が立ち並ぶ工業地帯でした。
なんと世界初の工業地帯だったのです!
今でも染料を作る風車、ピーナッツオイルを作る風車、丸太を切る風車が稼働していて、内部を見学できます。

ザーンセ・スカンスの詳しい紹介、アクセスはこちら

 

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知られざる風車の歴史と役割をご紹介しました。
オランダでは生きていく上でなくてはならない動力源だったんですね!